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■民芸の歴史と北民

・民芸とはなにか

「民芸」とは大正時代に作られた造語です。表層の美に惑わされて工芸の実用性が衰えかけた頃「日本にはこんな素晴らしい職人技があるではないか」と識者たちが暮らしの美学の再発見に動きました。民芸とはつまり民衆の中から湧きだす工芸です。民芸復活にたずさわった柳宗悦や河井寛次郎らは、そこに宿る力強さを「用の美」と呼びました。使い慣れるほどに奥深さと使いこなす喜びがあり量産品では味わえない楽しい実用性に愛着がわく。そんな実用性をきちんと備えた民芸の魅力が「エコ」と「もったいない」の今、再び脚光を浴びています。

■北海道民芸ストーリー

1964年創業の北海道民芸家具は、日本屈指の名門家具ブランドです。初代の大原総一郎氏の父・孫三郎はクラレの創業者。美術収集家として活躍し、日本で最初となる近代西洋美術を展示する大原美術館を設立。その後、柳宗悦や濱田庄司と交流を深めながら父子で民芸運動の支援者となり、日本民藝館の設立に協力します。

やがて総一郎は父の遺志を受け継ぐべく、北の大地で殖産振興と伝統技術を根付かせようと民芸家具の製作を決意。十代の若者たちを集め、まず木工の修業を長野県の松本民芸家具で、みっちり積むところから基礎固めを始めました。

まもなく道内の潤沢な樺の樹を主材に、多くの民芸家具を作りだすようになります。思えば明治末に武者小路実篤や志賀直哉の白樺派という文芸思潮が生まれ、それが大正デモクラシーという文化現象となり、さらに民芸復活の道を開いたのですが、二つの樺の樹は暮らしを潤す幸運の樹なのかもしれません。

高度成長期に入ると収益を急ぐ画一的で効率優先の量産品がもてはやされ、伝統の職人技が軽んじられがちになりました。そんな時代にも樹齢150年の樺の無垢板を活かした丹精な家具づくりは、柳宗悦らの遺志をついで用の美と質の高さで各地にファンを増やします。

1971年には人間国宝・芹沢銈介氏による北海道民芸家具のロゴも完成。1974年には道央の三笠に新工場を建設。2万4千坪の敷地でさらに発展をとげて企業名も、クラレインテリアと改めます。

そして時は流れて2009年秋。実直な企業理念と用の美に共感する飛騨産業が、民芸運動の熱い魂と美学を21世紀に引き継ごうと、製造技術の向上から経営まですべて担う事となりました。

■新しい民芸

中部山岳地帯の飛騨高山で当社が創業した大正時代、近隣の山々にはブナの天然森が広がっていました。この森林資源をどうすれば町が潤うか。そんな問いが、ヨーロッパ発祥の曲げ木椅子づくりの背中を押しました。折しも創業90周年を迎えた秋、遠く北の大地に周遅れで誕生した伝統ブランドの北海道民芸家具を継承することになりました。この英断は当社とも重なる実直な企業理念に共感したからに他なりません。用の美と呼ぶ生活美学のあくなき探求は、飛騨高山の物づくりと炭鉱と開拓の町・三笠を結ぶに十分な未来像をはらんでいたからです。

「用の美」を現代語訳すれば、どんな場面がふさわしいのでしょう。それは手作りの良さを残しつつ、工業化を図り、いつまでも変わらぬ使い良さと使う楽しみを地域から時代に提供すること。

飛騨産業は民芸の心を大切にしながら、これからも生活美学を追求していきます。

■木に新たな生命を吹き込む

「北海道民芸家具」はとことん素材にこだわります。主材である樺の木は年輪が細かく肌目は繊細緻密。非常に堅く機械強度が大きく接着性も抜群です。それだけに成長は遅く、良い家具材になるまでは途方もなく長い年月を待たなければなりません。限りある資源、親子代々大切に使ってもらえる家具を作ることは、環境保護にも繋がるのです。

1964年から私たちの間で受け継がれてきた、「家具を作ることで木に新たな生命を誕生させる」という大切な信念。樺の木に樹齢以上の家具としての寿命を与えることは、私たちの大きな使命です。

製材工場から運び込まれた樺材は、工場の広大な空きスペースに高く積み重ねられ、約半年から2年間「天然乾燥」されます。ここで木の水分は20%前後に絞られ、続く「人工乾燥」でゆっくりと約8%前後まで減少します。そしてこの工程による反りや歪みを除去するために、さらに約1か月間の「養生」が行われます。製品化後の木の歪みを確実に防ぐために、乾燥工程にここまでの時間と手間をかけるのも、私たちの素材へのこだわりのあらわれです。

■匠技と機械が織りなす美と格闘

乾燥工程を終えた木材は、多くの工程を経て美しい家具へと変わります。良質な部分のみを所定の寸法の板や角材に裁断する「木取り」、家具のどの部分になるかを決め切断する「部分加工」はコンピュータ制御の機械で、そして熟練した職人が巧みなカンナかけやノミ扱いで仕上げる「組み立て加工」へ。組み上げられた家具は手作業で繰り返し研磨されます。

最終工程は家具の出来栄えや品格を決める「塗装」です。一般的に行われている組み立て前の部材ごとの塗装では、組み立て後に色調が異なる恐れがあります。そこで「北海道民芸家具」では、白木地での組み立て完成後、植物系ラッカーでの塗装~拭き取り~研磨を手作業で10回ほど繰り返します。クリアラッカーでの最終仕上げも含め、植物系高級塗料での塗装を何度も繰り返すのも、きめ細やかな温もりある木肌を最も美しく見せ、さらには補修や再塗装しやすい生活具を目指す私たちならではのこだわりです。

■環境への温かな視点が、人の優しさへ

北の大地で樹齢を重ね、ようやく伐採期に達する樺の木。その一本一本が、こうして多くの熟練工の手で慈しむように家具へと作り上げられ、長く愛される生活具となっていきます。限りある資源を大切に、有効に活用すること。自然への畏敬と環境保護への想いは、創業の頃から今日に至るまで、私たちの間で脈々と培われてきました。ホルムアルデヒド等、有害化学物質を含まない接着剤や塗料を使い、合板には建築基準法の最上級材F☆☆☆☆を選択。地球にやさしいもの作りは、人の健康にもやさしいもの作りでもあります。安心して使っていただける「北海道民芸家具」、家具を通じて親から子へと受け継がれる家族の物語は、これからも新しい時を刻み続けることでしょう。

北海道民芸HP/飛騨産業内

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